木炭、デッサンパン実験
高校1,2年生対象の基礎科では、志望校、専攻に関わらずデッサンは木炭を使っています。
これは、調子をつけやすくなおかつ消しやすい特性を活かして、形や構図を直してよりよいものにしていく習慣をつけるためです。
木炭を消す道具として、食パンを使います。知らない人は「えっ!?デッサンに食品を使うの?」とビックリされることも多いのですが、木炭紙をいためること無く木炭の調子を取ることのできる、非常に親和性の高い素材です。
学生と話していて、どの食パンが一番デッサンパンとして適しているのかということになり、実験してみました。
木炭はヤナギ、クワ、カバの3種類を使いました。
それぞれ色の作り方は、左から塗っただけ、指でこすり込む、ガーゼでこすり込む。
食パンは左が「CGCヤマザキの朝の笑顔」(販売価格100円くらい)、右が「ヤマザキ芳醇」(販売価格160円くらい)を使っています。
また、消した上から同じ木炭で再度調子をのせています。
全体像。
ヤナギ、塗っただけ
ヤナギ、指でこすり込む
ヤナギ、ガーゼでこすり込む
クワ、塗っただけ
クワ、指でこすり込む
クワ、ガーゼでこすり込む
カバ、塗っただけ
カバ、指でこすり込む
カバ、ガーゼでこすり込む
経験的に感じてはいたものの、こうやって対比させてみると、木炭の種類によって随分と色が違います。
パンの違いによる消え具合は、若干の違いはあるものの、ほぼ同等の結果になっています。
実際に制作していく上では、パン自体の柔らかさとか粘りのような触覚的要素が大きく影響してくるので、そのあたりは好みが分かれると思います。また、どれだけ紙の目を傷めずに木炭の調子を取れるのかというのは、経験によるところが大きいので、そこは訓練するしかないでしょう。
木炭は非常に触覚的な素材です。石膏デッサンなどをやる場合は、まさに石膏像をなで回しながら描いていくような感覚です。これは実際に描いていくと実感できると思います。指先の感覚を研ぎすませる上でも、学生たちには、素材にこだわる姿勢を身につけさせたいと思います。