黒い食パン

2017年10月30日

アトリエ新松戸の受験部・基礎科では、「デッサンの初歩」として木炭デッサンを行います。

木炭はつけやすく取りやすいツールとして、絵画の初心者にはやさしいのです。

まず木炭の種類から。

画像にあるように、ヤナギ、クワ、カバなど様々な種類があります。
ヤナギは柔らかくカバは硬いため、表現が変わるのが分かります。
柔らかければ柔らかいほど濃く定着するというのは、鉛筆と同様ですね。

木炭デッサンでは、木炭紙を3枚ほど重ねてクッションにします。
そうすることで、木炭がカルトン(画板)のボコボコに影響されることなく、紙のテクスチャのみを拾うようになるからです。

さて木炭と相性の良い「消すツール」といえば食パン。

消しゴム替わりに食パンを使うのはアートの世界では普通なのですが、初心者の方は大抵驚きます。

イギリスの自然哲学者ジョゼフ・プリーストリーが1770年代に消し材としてのゴムの性質を発見するまでは、食パンが消し材でした。
そのまま使うのではなく、適度な大きさにちぎり、ある程度丸めたり練ったりしてから使います。

食パンの穴が木炭を拾うことで消す、という結果になるのですが、消しゴムと違い、消去度は劣るものの紙をさほど傷めません。

つまり木炭を「残す」加減がコントロールできるので、表現の幅につながるのです。

また、指やガーゼで「ぼかす」という技法もあります。
これもぼかすツールにより様々な表現が作れます。

鉛筆よりもざっくりと形をとらえるのに向く木炭、初心者にとっては「大きく見る」目と「大きく描く」手が養えるのも良い点でしょう。

モチーフは単純な立体から始まり、やがては静物、石膏、人物まで。


(上記は全て同じ生徒の作品です。)

過去には実験に特化した授業も行いました。

このように、基礎科2年生までは木炭を使ってデッサンをじっくり、丁寧に学びます。

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