展覧会レポート「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」

森美術館で開催中の「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」のレポートです。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/theastergates/index.html

最初、展覧会名を見た時に「アフロアメリカンのアーティストが、日本の民藝運動に触発されて制作した、現代陶芸や染織の作品展」だと、勝手に思い込んだのですが、一部そういった作品はあるものの、全く違ったものでした。

シアスター・ゲイツは、米国シカゴを拠点に、彫刻と陶芸作品を中心に建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを飛び越えた活動で注目されているアーティストです。(公式ホームページより)

実際に鑑賞してみて、その表現の多面性と、根底に流れる手仕事への賞賛、人種と政治への問題意識に触れることで、得るところが多い展覧会です。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

木製のタイルが敷き詰められた会場。右側の壁面に設置された香木の香りが印象的な空間でした。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

ゲイツの住むシカゴ地区で、取り壊しになった図書館などから集められた黒人関連の書籍たち。一部手にとって読むこともできました。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

シカゴの自宅付近の廃屋を買い取って改装し、そこで作品の展示や映画の上映、公民権運動を含む人種問題の資料のアーカイブなども行なっています。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

廃校になった小学校の体育館の床材を再構築した作品。作品化することによって、そこに暮らしていた人々の生の痕跡が残されていきます。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

父親は屋根の塗装職人だったそうです。その父親から教わった技術を応用して作られた巨大なレリーフ状の作品群。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

日本の常滑で陶芸のワークショップに参加したことがきっかけで、その後毎年のように来日し、巨大な陶芸作品を作るようになったそうです。

シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」

最後の部屋はディスコ風の空間で常滑の蔵元とコラボレートしたお酒も展示されていました。

個人的にはフィールドハラー風の曲を廃屋の中でゲイツが独唱している《嗚呼、風よ》のビデオ作品に心惹かれました。

会期は2024年9月1日まで。
ジャンルを問わず、これからアートやデザインを目指す人には、おすすめの展覧会です。


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